自転車の大会や競技に参加していると、途中で集団を組んだり隊列を組んだりするときがあります。
同じくらいのペースの人たちが隊列を組んでペースアップを図るのですが、別にこれは事前に打合せされたものではなく、ましてや走行中に話し合うわけではなく、自然発生的にできるのもです。
あまり大会や競技に馴染みのない方はわからないかもしれませんが、集団を組む・隊列を組むことが自転車の大会や競技においては重要になってきます。
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集団・隊列の目的
自転車は個人競技なのに何で集団や隊列を組むの?と思う方もいるでしょう。
自転車競技は個人競技であると同時に「駆け引き」が非常に重要な競技でもあります。この駆け引きが上手いか下手かも競技の順位に大いに影響します。
自転車レースやトライアスロンなどトップクラスの大会になればなるほど駆け引きが重要になります。私たち一般人が参加する大会ではそれほど戦略的な隊列は組まれませんが、それでも集団が出来たり隊列を組んで走ることがよくあります。
集団・隊列を組む目的は大きく2つあります。
終盤の個人対決まで体力を温存するため
自転車レースは序盤・中盤は駆け引き、終盤は個人対決というのが一般的です。終盤までいかに体力を温存して、最後の勝負どころで全力を持続できるかがカギとなります。
そのために「集団」を形成して隊列を組み、体力を温存します。
自転車レースでは、トップクラスのレースでは平均時速50km以上で走る場面がありますし、一般の大会でも40km以上で走行することがあります。
自転車のレースで一番体力を消耗するのが「風」です。
時速40km、50kmのスピードのときの風は非常に大きな「抵抗」となって、サイクリストのパワーとスタミナを消耗します。
例えば100kmの距離を10人で走る時、一人ひとり別々で走っていたら、100kmの間ずっと風の抵抗を受け続けることになります。
ですが、10人が1列に隊列を組み、10kmごとに先頭を入れ替えたらどうでしょうか?
1人が風にさらされる距離は10kmです。先頭が風の抵抗を受ければ、その後ろを走る人はスリップストリームに入るので、風の抵抗を受けることなく楽に自転車を漕ぐことができます。
100km風の抵抗を受けて走るのか?10kmだけでよいのか?この違いは非常に大きく、消耗する体力も天と地ほどの差が表れます。そのために隊列を組むのです。
ペースをアップを図りペースを一定に保つため
風の抵抗を分散させる効果により、一人ひとりに余力ができるのでペースアップが図れます。
大会において、先頭集団を追う第2集団はペースアップして前を追わなければなりません。そのときにいかに効率よく集団を形成してペースアップを図れるかがポイントとなります。
先頭を追う第二集団は、本来なら自分自身との「個人」の戦いなのに、ここではできるだけ協調性を保ち、集団全体で先頭を追う姿勢が問われます。そのため集団でトラブルが起きやすいのもこの第二集団です。
一方で先頭集団は、できるだけペースを一定に保つため隊列を組みます。
前を追う必要がないので無理にペースアップする必要はありませんが、第二集団以下を引き離すため「いかに楽に、いかに一定のペースで走るか」が求められます。
第2集団に追いつかれないペースを保つ
終盤のラストスパートに備えて力を温存する
後ろから迫ってくるプレッシャーに気をつけながら、体力をできるだけ温存するためのペース作りは、トップクラスのサイクリストでも難しく、第二集団としてトップを追う集団よりもペース管理は難しいと言えます。
集団・隊列は必ず形成しないといけないのか?
集団や隊列は必ず組まないといけないのか?と言われればそんなことはありません。
自転車レースはあくまでも個人戦。個人で必要ないと判断すれば一人で走っていてなんら問題はありません。
ですが、順位を上げるため、成績を残すため、レースに勝つためには「集団・隊列を組まなければ勝てない」というのが実情です。
但しここで問題となってくるのが「集団・隊列内でのマナー」
先ほど「第二集団でトラブルが多い」と書きましたが、まさにこのマナー問題によるトラブルが多いのです。
集団や隊列でみんなの力を借りて走る以上、自分も集団に貢献するのがマナーです。ときには自分が先頭に立ち、集団を引っ張る必要があります。常に集団の後ろにいて集団の力だけを利用するのはあまりいい感じがしませんし、他の選手からも不信感で見られてしまいます。
集団や隊列に規則やルールはなく、あくまでも選手同士の自主性、言ってしまえば勝手にやってることなので、必ず先頭に立たなければならないわけではありません。
ですが、集団や隊列を組んで他の人の力を借りる以上、自分も集団に力を貸すのがマナーであり、余力が無くて集団のために力を出すことができないのであれば、集団や隊列から離れることがマナーであると私は思っています。
もしレース中に集団や隊列を組む場面に遭遇したら、「自分も集団に貢献してみんなで一緒に好成績のために頑張る」という意識をもって走るようにしましょう。