現代の自転車レースは完全なるチーム戦です。
各チームに所属する選手はチームのために走り、チームは一人のエースを活かすため全てをエースに注ぎ、エースは全てを一身に背負って先頭でゴールするために走ります。
ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャなど、世界的な自転車レースで総合優勝を目指すためには、チームの総合力が欠かせません。特にエースを支えるサポートメンバーの存在がカギとなります。
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サポートメンバーの役割とは?
自転車レースでの総合優勝、山岳賞など、総合してタイムを競ったりポイントを競って称号を得るためにはサポートメンバーの役割が欠かせません。
サポートメンバーの役割は多岐に渡ります。
・風よけ(スリップストリーム)
・全体のペースを作る
・全体のペースを乱す
・ライバルを牽制する(揺さぶる)
・エースを落車やトラブルから守る
・エースを引っ張る
・エースのトラブル時のサポート
一般的によく言われるのが「風よけ」
エースの前で走りスリップストリームを作ってエースを楽にさせること。
でも風よけの役割はそれほど重要ではありません。
平坦ステージの最後のスプリント勝負では、サポートメンバーが隊列を作りできるだけトップスピードを維持してエースをサポートします。ですが風よけの役割として重要なのはその場面くらいです。
サポートメンバーの役割として重要なのは「全体のペースを作る」「全体のペースを乱す」「ライバルを牽制する」ところでしょう。
1ステージ200km前後、時間にして5,6時間も走る自転車レースではペース配分が重要となります。いかに勝負どころまでエースの力を温存できるかが、ステージ優勝やトータルの総合優勝のカギとなります。
そのためサポートメンバーは全体のペースを作るだけではなく、ライバルチームに気持よく走らせないため、山岳コースでアタックをかけたり、平坦コースで逃げを打ったりとペースを乱すこともします。
もちろんペースを乱す走りは失敗すれば単なる自滅に終わる場合もありますが、個人だけではない選手全体の駆け引き、チーム戦の駆け引きが重要な現代の自転車レースでは重要な作戦の一つです。
新城幸也選手もサポートメンバー
チーム・ユーロップカー(ヨーロッパカー)に所属する新城幸也選手もサポートメンバーの一人です。
自転車レースをあまり知らない人は新城幸也選手の凄さがイマイチピンと来ないようです。確かに自転車レースの世界を知らないとわかりにくいと思います。2014年ツール・ド・フランス総合65位と言われても「やっぱり世界の壁は厚いね」と思われがちです。
総合順位が65位なのはサポートメンバーとして参戦しているからであり、総合順位で上位争いを演じられないのは仕方のないことです。
ですが、まずヨーロッパのプロチームに所属し、ツール・ド・フランスのメンバーとして選出されること自体物凄いことなのです。しかも新城選手の場合、エースのアシスト役だけではなく、チャンスがあれば果敢にアタックを試みることもあります。これはチームから信頼されている証です。
新城幸也選手のアタック、粘りの走りは見る人を魅了するものがありますね。
逃げを打つ走りもたまに決まる
自転車レースを見ていると、各チームのエースを含むメイン集団の遥か先を走る「逃げ集団」というものが存在します。
逃げ集団は、メイン集団よりも20分以上前を走る場合もありますが、ほとんどの場合ゴール前10km地点以降でメイン集団に吸収されます。それほど単独の逃げと集団でペースを保つ走りには差がでます。20分以上も離されて本当に届くのか?と思うのですが、追いつかれるときはあっという間です。
そこにはチームの計算されたペース配分、集団で走ることでの力の温存があるのですが、ときに逃げが決まりそのまま集団に追いつかれずにステージ優勝を果たすことがあります。
逃げ集団を走る選手はチームのエースではないので、名前がちょくちょく出てくる選手ではないのですが、逃げが決まってステージ優勝したときの新鮮さもまた楽しみの一つとなります。